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広島高等裁判所 昭和24年(う)460号 判決 1949年12月27日

被告人

津田隼人

主文

本件控訴は之を棄却する。

当審における未決勾留日数中四拾日を本刑に算入する。

理由

弁護人今西貞夫提出の控訴趣意は末尾添附の別紙書面記載の通りである。

第一点。

原判決は業務妨害の事実に付理由不備又は事実誤認がある尠くとも審理不盡の違法があるというのであるが被害者道仲壽夫及び奧野久夫等が廣島第二機関区より同機関区呉支区に助勤に來り同助役室において待機中被告人より暴行を受け恐怖の余り助勤々務を遂行し得ざる状態に立ち至つたので上司の許しを得て帰任したこと及び被告人が前記被害者等が助勤に來たものであることを知りながらその前日より之に暴行を加えようと意図し当日同人等の執務待機中に本件犯行に及んだものであることは原判決挙示の証拠により明かである。而して原審公判調書中被告人が業務妨害の意志がなかつたと供述記載があり本件暴行が前記被害者の現実に執務中に発生したものでなく又被害者等が上司の助勤解除により帰任したこと等所論の通りであるが刑法第二百三十四條の業務妨害罪の成立には必ずしもその威力の行使が現実に業務中に爲されたることを要しない其の待機中になされたる場合も含むものと解す又同人等が上司の助勤解除により執務せざるに至つたとしても前記の如く被告人の本件犯行により助勤解除の已むなきに至つたことは明かであるから被告人の本件犯行との間に相当の因果関係がある原判決の認定は相当であつて何等事実の誤認なく理由不備乃至審理不盡の違法はなく、論旨は理由がない。

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